排出量取引(ETS)
排出量取引制度(ETS:Emissions Trading System)は、企業などが出してよいCO2の量に上限(キャップ)を設け、その範囲内の「排出枠」を売買できるようにする制度です。削減しやすい企業がより多く減らし、余った枠を売ることで、社会全体の削減コストを抑えるねらいがあります。
押さえておきたいポイント
- 日本のGX-ETSは、2023年度からGXリーグ参加企業の自主的な制度として試行されてきました。
- 2025年のGX推進法改正により、2026年度から、CO2の直接排出量が年10万トン以上の企業に参加が義務づけられます。
- 2033年度からは、発電事業者に排出枠を有償で割り当てる(オークション)制度の導入が予定されています。
排出権取引(ETS)の最新ニュース
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解説:排出権取引(ETS)の基礎知識
ETSのしくみ
- キャップの設定:制度全体、または企業ごとに排出の上限を決めます。
- 排出枠の割当:無償で配る方法(過去の排出実績や業種ごとの効率基準=ベンチマークにもとづく)と、オークションで有償で配る方法があります。
- 取引:枠が余った企業は売り、足りない企業は買います。需給によって炭素の価格が決まります。
- 償却(精算):年度の終わりに、実際の排出量に見合う枠を国に提出します。足りなければ罰則などの対象になります。
価格が急騰・急落しないよう、上限価格や下限価格を設ける制度もあります。また、余った枠を翌年度に持ち越す「バンキング」を認めるかどうかも、制度設計の重要な要素です。
日本のGX-ETS
GX-ETSは、「成長志向型カーボンプライシング」の柱のひとつです。2026年度からの本格稼働では、対象企業に業種ごとのベンチマークなどにもとづいて排出枠が無償で割り当てられ、排出実績は第三者の検証を受けて報告します。対象は数百社規模で、国内のCO2排出量の約6割をカバーすると見込まれています。
急激な負担増を避けるため、価格の上限(上限価格を払えば排出枠の代わりとできる仕組み)と、下限の目安が設けられる予定です。J-クレジットやJCMなどのクレジットも、一定の範囲で使えるようになります。
海外の主な制度
| 制度 | 開始 | 概要 |
| EU ETS | 2005年 | 世界初の本格的な国際ETS。発電・産業・航空などが対象で、海運にも拡大。有償オークションの割合が高い。建物・道路輸送向けの新制度(ETS2)も予定されている |
| 中国 全国ETS | 2021年 | 発電部門から始まり、鉄鋼・セメント・アルミニウムへ対象を拡大。対象排出量では世界最大 |
| 韓国 K-ETS | 2015年 | アジアで最初の全国規模のETS |
EUは、ETSの対象産業が域外に移転する「カーボンリーケージ」を防ぐため、輸入品に炭素価格を課すCBAM(炭素国境調整メカニズム)を導入しています。日本から欧州へ鉄鋼などを輸出する企業にも影響します。
ニュースを読むときのポイント
- 価格水準:EU ETSの価格は1トンあたり数十〜100ユーロ前後で推移してきました。制度間で価格を比べるときは、対象範囲や無償割当の多さも考えましょう。
- 割当の方法:無償割当が多いほど企業の負担は小さくなりますが、削減を促す力は弱まります。
- ETSと炭素税の違い:ETSは排出量を、炭素税は価格を先に決める制度です。
公的な情報源
- GXリーグ:GX-ETSの制度概要、参加企業
- 経済産業省:排出量取引制度の制度設計に関する審議会資料
解説の最終更新日: 2026-09-26