水素・アンモニア・合成燃料
電化だけでは脱炭素が難しい製鉄・化学・発電・大型輸送などの分野で、化石燃料を置き換える手段として期待されているのが水素と、その仲間であるアンモニアや合成燃料です。
押さえておきたいポイント
- 政府の水素基本戦略(2023年改定)は、水素(アンモニアを含む)の導入量を2030年に年300万トン、2040年に1,200万トン、2050年に2,000万トン程度とする目標を掲げています。
- 2024年成立の水素社会推進法にもとづき、低炭素水素と既存燃料との価格差を長期(15年間)にわたって支援する制度が始まりました。
- 日本は「何色の水素か」ではなく、製造時のCO2排出量(炭素集約度)で「低炭素水素」かどうかを判断します。
水素・アンモニア・合成燃料の最新ニュース
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解説:水素・アンモニア・合成燃料の基礎知識
水素の「色」と低炭素水素
水素は、つくり方によって製造時のCO2排出量が大きく異なります。一般には次のような呼び分けが使われます。
| 呼び名 | つくり方 | CO2排出 |
| グレー水素 | 天然ガスなど化石燃料の改質 | 多い |
| ブルー水素 | 化石燃料から製造し、発生したCO2をCCSで回収・貯留 | 少ない |
| グリーン水素 | 再エネの電気で水を電気分解 | ほぼゼロ |
日本の制度では、色の名前ではなく「水素1kgの製造に伴うCO2排出量が一定値(3.4kg-CO2)以下か」といった数値基準で低炭素水素かどうかを判断します。欧州でも、再エネ由来の水素・燃料(RFNBO)に厳密な認証ルールが設けられています。
運び方:水素キャリア
水素は常温で気体のままでは体積が大きく、大量に運ぶのが難しいエネルギーです。そのため、次のような形に変えて運ぶ方法(水素キャリア)が開発されています。
- 液化水素:−253℃まで冷やして液体にする。専用の運搬船や貯蔵タンクが必要。
- MCH(メチルシクロヘキサン):トルエンに水素を結びつけた液体。常温・常圧で扱える。
- アンモニア:水素と窒素の化合物。既存の輸送・貯蔵インフラがあり、そのまま燃料としても使える。
主な使い道
- 発電:火力発電所で天然ガスに水素を、石炭にアンモニアを混ぜて燃やす「混焼」の実証が進んでいます。大型の石炭火力でアンモニアを熱量比20%混焼する実証も行われました。
- 製鉄:鉄鉱石から酸素を取り除く工程で、石炭(コークス)の代わりに水素を使う「水素還元製鉄」の開発が進んでいます。
- モビリティ:燃料電池トラック・バス、船舶燃料など、電池だけでは重量や航続距離の面で難しい分野が中心です。
- 合成燃料(e-fuel)・合成メタン(e-methane):回収したCO2と水素から、ガソリンや都市ガスと同じ性質の燃料をつくる技術です。既存のエンジンやガス管をそのまま使える利点があります。
ニュースを読むときのポイント
- 価格の単位を揃える:水素の価格は「円/Nm3」「円/kg」「ドル/kg」などが混在します(水素1kgは約11Nm3)。政府は供給コストを2030年に30円/Nm3、2050年に20円/Nm3以下とする目標を掲げています。
- 「MOU」「FS」「FID」の違い:基本合意(MOU)や事業化調査(FS)の段階の発表は多いものの、最終投資決定(FID)まで進む案件は限られます。
- 電解槽の規模:水電解装置の規模は「MW」で表されます。発表の数字が設備容量なのか水素の製造量(トン/年)なのかを確認しましょう。
公的な情報源
- 資源エネルギー庁:水素基本戦略、価格差に着目した支援制度
- NEDO:グリーンイノベーション基金による技術開発プロジェクト
解説の最終更新日: 2026-09-26